サッカー女子日本代表「なでしこジャパン」がE1サッカー選手権最終日、勝点で並んでいた北朝鮮女子代表に0-2と完敗し、3大会ぶりの優勝を逃した。
私はこの試合をテレビで観戦したが、走力、キック力、スピード、それら全てにおいて、なでしこジャパンは北朝鮮女子にやや引けを取っていた気がする。
特に後半は、なでしこジャパンの足も止まり、北朝鮮女子のダイナミックな攻撃に完全に押されてしまっていた。
E-1選手権速報【なでしこジャパン】平均年齢21歳の北朝鮮に攻守で圧倒され…新体制初戴冠ならずhttps://t.co/Pa32RS7XQL#なでしこ #なでしこジャパン #女子サッカー #日本女子代表 #E1サッカー選手権 #サッカー #なでしこJAPAN #北朝鮮戦 pic.twitter.com/U8FfBRMJgX
— サッカーダイジェスト (@weeklysd) December 15, 2017
アジア最強国に挑んだ新しいなでしこジャパン
2019年にフランスで開催される女子ワールドカップへの出場権を既に逃し、一気に選手たちを若返らせたチームが出場してきたとは言え、北朝鮮女子代表チームは、アジア最強とも呼ばれ世界トップクラスに匹敵する実績を誇る。
北朝鮮男子チームもそうであるように、相手を驚かせるようなコンビネーションやトリッキーなプレーはほとんど見られないが、その身体の強さ、無尽蔵にも見える体力、当たり前のプレーを当たり前に出来る強さを感じることの出来るチームだ。
人口はわずか2500万人に過ぎず、物資や食糧難が伝わってくるかの国に、こうした選手たちが続々と誕生してくること自体が驚異的とも言えるが、少なくとも彼女たちの果敢なプレーは、女子によるサッカーの持つ価値の大きなひとつの要素を提示しているとも言えるだろう。
一方のなでしこジャパンは、年代別代表での実績を買われた高倉麻子監督のもと、なかなか進まなかったW杯チャンピオンからの世代交代を図っている真っ最中だ。
日本サッカー界に驚きと歓喜をもたらせたあのW杯優勝メンバーで、今大会に招集されていたのは、鮫島、阪口、宇津木、岩淵の4人のみ。この4人の中でも純然たる主力として戦ったのは鮫島、阪口の2人。既にあの栄冠から6年が経過しているとは言え、世界トップのアメリカでさえ、決勝でなでしこジャパンにPKで敗れた際の主力選手の多くが未だ代表チームに名を連ねている現状を考えれば、なでしこジャパンが如何に思い切った世代交代に挑戦しているかが理解出来る。
つきまとう「過去の栄光」
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— スポーツナビ サッカー編集部 (@sn_soccer) December 15, 2017
しかしながら、選手の顔触れがどう変わったとしても、なでしこジャパンには「世界王者」という過去の栄光が常に付きまとう。
あの栄冠によって、澤穂希は国民的スターとなり、「なでしこジャパン」という愛称もすっかり定着した。優勝したW杯の2年後に行われたロンドン五輪でも銀メダルを獲得し、勢いそのままに2015年のW杯でも決勝進出という快挙を果たした。
しかし、大きな期待を掛けられながら出場すら果たせなかったリオ五輪を機に、なでしこジャパンが単に「優勝やメダルだけ」を期待されていた現状が露呈してしまったように思う。
ある意味、彼女たちは男子の日本代表以上に「戦果」を期待される存在となってしまっている。
東アジア王者を決めるE1においても、その価値は「優勝」以外にはあり得ないかのようなムードが作り出された。
女子北朝鮮代表との試合に敗れたなでしこジャパンには、ゴール裏からブーイングも浴びせられたようだ。
日本には「女子サッカー」を楽しむ術が育っていない
こうしたファン・サポーターの反応もサッカー文化のひとつと言えるのかも知れないが、私は日本サッカー界の中に、女子サッカーを競技として楽しむ文化がほとんど醸造されていないようにも感じる。
女子サッカー、なでしこリーグなどに対する「サッカーファン」たちの見方は常に厳しい。
最も大きい声として「レベルが低くて面白くない」というものがある。
何と比較して「レベルが低い」と言っているのかは正確には分からないものの、恐らくは男子サッカーと比較しているのであろう。非常にナンセンスだ。中には、女子アメリカ代表や、女子ドイツ代表と比較して「レベルが低い」と言っているケースもあるかもしれないが、それにしても「面白くない」理由としては非常に低次元な話だと思っている。
考えてみて欲しい。
我が子がピッチで「団子サッカー」をしていても、その親たちは心配になるくらい興奮しながら声援を送っている。
明らかに「レベルが低い」試合であっても、人は十分にこうして夢中になり楽しむことは出来るのだ。
なでしこジャパンの引き合いに団子サッカーを出すことは少々不謹慎だったかも知れないが、私の本意を理解していただければ、納得していただける部分もあるだろう。
つまり、我々は未だ「なでしこジャパン」をどう楽しめばいいのか、十分に理解出来ていない。そうは言えないか。
「女子サッカー」の在り方を模索すべき
これはなにも「受け取る側」であるファンに一方的な責任があることではない。日本サッカー界が「元世界王者」であるなでしこジャパンの威光に頼りきり、女子サッカー界が持つべきビジョン、理想のチーム像、憧れの対象となるべくイメージ作りなどにしっかりと向き合ってこなかった結果でもあるのではないだろうか。
SAMURAI BLUEのユニフォームの一部になでしこ色をアレンジする程度では、いつまでも男子サッカーの「おまけ」としてのポジションから脱することは出来ない。
日本サッカー協会が強く訴えている「女子競技者の増加、裾野の拡大」も、女子サッカーでしか打ち出せない魅力やイメージがなければ、成果を得るのは難しいだろう。
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