何の気なしに、再放送されていたプレミアリーグをテレビで観戦した。
12月13日にロンドンスタジアムで行われた17節「ウェストハムVSアーセナル戦」である。
今季のプレミアリーグは、マンチェスターシティが既に独走態勢に入りつつあり、昨季王者のチェルシー、コンテ監督にして優勝争いからの離脱を言葉にするほど。
モウリーニョのユナイテッドも、ケインのスパーズも、クロップのリバプールも、今後のリーグ戦では、ペップのシティにどれだけ勝点で肉薄出来るかにその興味は移ってしまっているかのように見える。
そして、続投への賛否が渦巻く中、21年目のシーズンに挑戦することになった、ベンゲルのアーセナルも、先に挙げたチーム同様に難しいシーズンを過ごしている。
とはいえ、今季のアーセナルも、その所属選手たちの顔触れは実に華やかだ。
ビッグクラブと「そうでない」クラブとの戦い
【結果ニュース】アーセナル、モイーズ・ハマーズにゴールレスで3戦連続ドロー《プレミアリーグ》https://t.co/WoelNxWNgp
アーセナルは13日、プレミアリーグ第17節でウェストハムのホームに乗り込み、ゴールレスドローに終わった。 pic.twitter.com/GZ3Df3rl6i
— 超ワールドサッカー (@ultrasoccer) December 13, 2017
アレクシス・サンチェス、メスト・エジルといった「移籍話」にこと欠かない特別な選手たちが残留し、ジャック・ウィルシャーは年齢的にもキャリアの全盛期を迎えつつある、交代出場での最多ゴール記録を持つジルーも相変わらず強い存在感を放ち、リヨンからストライカーのラカゼットも加入した。
これだけのメンバーを揃えてもなお、上位チームの中で飛びぬけた戦力を誇ると言えないあたり「世界最大規模」のフットボールマーケットとして君臨し続けているプレミアリーグ足らんエピソードとも言えるだろう。
こうして超高額な「人件費」を投入するクラブが数多あるリーグにおいて「そうでない」チームは、彼らとどう戦うべきか実に良く理解している。
私が見たウェストハムもそんなチームだった。
売り手型クラブ ウェストハム
決して忘れることはない。
世界でいちばんのキャプテン、ボビー・ムーアが51歳でこの世を去ってから、今日で2️⃣4️⃣年になります。#OnThisDay #RIPBobby #WHUFC #COYI pic.twitter.com/b3HNckRpYm
— West Ham Japan (@whufc_japan) February 24, 2017
かつて、母国開催のW杯でイングランドに栄冠をもたらせたキャプテン、ボビー・ムーアがそのキャリアのほとんどを過ごしたこの名門クラブは、120年という長い歴史の中でトップリーグでの優勝経験がない。
2部で過ごしたシーズンこそ合計18年に過ぎないが、トップリーグでは中位に沈むのが常のようなクラブだ。
過去にカルロス・テべス、ハビエル・マスチェラーノといった「ビッグネーム」を獲得したこともあったが、クラブの「色」としては、若く有望な選手を発掘・育成し、ビッグクラブへ売却することを経営の軸としてきた「売り手型」クラブである。
つまり、ウェストハムは常に将来有望ではあるが「無名」な選手たちで、シティ、ユナイテッド、チェルシーといったビッグクラブと戦ってきたのだ。
プラン遂行に成功したウェストハム
この日のゲームも、そんなクラブの「色」が非常にはっきりとあらわれた試合となった。
アーセナルの選手たちが、GKとディフェンダーの3人を除いては、全員が攻撃の選手であるかのような迫力と前への推進力を見せる一方で、ウェストハムは長身のストライカー、アルナウトヴィッチ、マイケル・アントニオの2人と彼らと他の7人のフィールドプレイヤーとのつなぎ役徹するマヌエル・ランシーニがチャンスと見るや攻撃に加わるくらいで、ほとんどの時間を自陣で相手攻撃のスペースを潰す事だけに専念している。
その様子はまるで、ひとつの巨大な「軟体動物」であるかのように見事な連動性で90分間維持され続けた。
サンチェスもエジルも、そしてウィルシャーも、決してコンディションが悪いようには見えなかったが、いかんせん彼らには「スペース=空間」が与えられなかったし、様々な手を尽くしてもそれを作り出すことが梅雨沿出来なかった。
結局この試合では勝者が誕生することはなかったが、ウェストハムは自らが立てたプランのほとんどを遂行することに成功したとも言えるだろう。
ロンドンオリンピックのメインスタジアムとして使われた巨大なスタジアムに集まったウェストハムサポーターにとっても、ロンドンを本拠し、自分たちと同じく「労働者たちのクラブ」であるイングランド屈指のビッグクラブに対して0-0の結果は十分に満足のいく結果であったはずだ。
我々の代表は「ビッグクラブ」なのか
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この試合は見方を変えれば、スター選手たちがその本領を発揮出来なかった「つまらないスコアレスドロー」でもある。
しかし、少なくともイングランドにはこうしたゲームもフットボールの1つであることが認められているし、ともすれば大きな評価、称賛の対象にもなり得る。
私はこの試合を見ていて、2010年W杯南アフリカ大会での日本代表の戦いを思い起こした。
確かに国外で開催されたW杯におけるベスト16進出という「結果」は評価されたかも知れない。しかし彼らの戦いぶりについて、果たしてこれまでに正当な評価は下されてきたのだろうか。
来年ロシアで開催されるW杯を戦う日本代表チームに、我々はまたしても「内容」という幻を求めてしまうのだろうか。
我々の代表チームは、果たして「ビッグクラブ」なのか。そして「強者との戦い」に徹する哲学を評価する度量が存在する余地はあるのか。
明らかな「格上」との戦いを強いられるW杯で、日本代表の戦い方は「強者との戦い」であるべきではなかろうか。
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