Jリーグ春秋制移行ひとまず休止符。日本社会ありきのJリーグを目指せ

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12月12日、Jリーグが日本サッカー協会から強く提案されていた22年度からの秋春制へのシーズン移行を否決した。

この議決を受け、当面の間は「秋春制移行」についての議題はJリーグ理事会であがらないことになる。

サッカーファンの間でもその是非が二分

Jリーグの秋春制移行については、「推進したい」日本サッカー協会側と「受け入れられない」Jリーグ側との主張が常に平行線をたどり、議論の内容もなかなか深まっていないように私には見えていた。

これは一般のサッカーファンの間でも同様で、秋春制移行の是非については意見がほぼ二分されていたように思う。

現在、サッカーの世界市場で圧倒的な力を持つヨーロッパにおいて、その主要リーグがほとんど秋春制のシーズン開催で運営され、W杯や欧州選手権などの世界大会も、秋春制のシーズンオフである夏季に開催されるようになっている。

こうした実情から、特にヨーロッパのサッカーシーンに対して強い関心を抱いているサッカーファンの多くが、Jリーグの秋春制移行に賛同する傾向がある。

一方で日常的にJリーグに関心を抱き、実際にスタジアムへ行くことが習慣化しているファンや、東北、札幌、北陸などの豪雪地帯に本拠をおくクラブのサポーターは、秋春制移行がいかに現実離れした話であるのかを強く訴え、否定的な意見をあらわにしてきた。

日本代表が強くなることがそんなに重要なのか

私は今ほどJリーグを始めとする国内サッカーの現場、スタジアムへ行くようになるまでは、どちらかと言えば秋春制移行に賛成していたことは、以前にもこのブログで触れたことがある。当時は、ヨーロッパサッカーとJリーグが連動したカレンダーで運営されることが、日本人選手の強化や日本代表チームの強化につながると考えていた。

しかし、Jリーグや国内の他カテゴリーを見て行くうちに「日本代表の強化を正義」とする発想自体に違和感を覚えるようになった。

既に日本にはその風土にあったサッカーシーンが存在しているのに、それをかなぐり捨ててまで「日本代表が強くなること」は重要なのだろうか。そう思うようになったのだ。

極論ではあるが、仮に日本代表がW杯で優勝するようなチームになったとしても、国内のサッカーシーンが廃れていては全く意味がないのだ。

村井チェアマンが挙げた「秋春制に移行しない9つの理由」

今回のJリーグ理事会では、村井チェアマンが秋春制に「移行しない理由」として9つの項目を挙げた。

1、移行しない方が、リーグ戦実施可能期間が1か月以上長い。

2、移行するとシーズン終盤の4、5月にAFCチャンピオンズリーグのグループステージ終盤やラウンド16が入る。出場4クラブだけがリーグ戦最終局面を厳しい日程で戦うことになる。

3、移行しても1月に移籍する選手は減らない可能性が高い。また夏のウインドーならば移籍金が少なく済むとは言い切れない。

4、シーズン末に決勝が集中することは世界基準で違和感がない。

5、「雪国に相当設備のスタジアム等が整備されるだろう」という期待を前提とした移行を、経営リスクととらえるクラブ経営者が多い。

6、移行期の0.5年または1.5年での収益確保は、Jリーグ54クラブそれぞれの課題で難易度が高い。

7、現シーズンは学校年度と完全ではないが、ほぼ揃っている。移行して半年ずれてしまうマイナスは大きい。

8、企業との期ずれも、企業側でヒアリングしたところ、修正は難しいとの見方が多い。

9、移行カレンダーの1、2月に計4試合予定されているルヴァン杯は、検証したところ他の期日にプロットできない。Jリーグはルヴァン杯を全国のホームタウンで通年開催したいと考えており、移行カレンダーではルヴァン杯が成立しておらず、Jリーグの考えではカレンダー自体が成立していない。

ゲキサカ 12月12日配信記事より引用

秋春制移行案に対してのカウンターとして、かなり具体的な内容となっている。

日本社会にあったJリーグの形があるはずだ

「雪国」は課題克服をせよ!となっていただろう

この中で私が注目したのは、7、8、の項目についてだ。

この2つの項目では、日本社会に存在する「期」とのズレによる支障が触れられている。

これまで秋春制移行に反対する意見の象徴としては、5、の「雪国対策」について語られることが多かった。

Jリーグには豪雪地方に本拠地をおくクラブが多く存在している。彼の地で冬期間に場合によっては数万の観客を集め、サッカーの試合を屋外で行うことの非現実性については、語りつくされてきた。つい先だって11月19日にNDソフトスタジアム山形で行われたJ2リーグ最終節「山形対岐阜戦」は降雪に見舞われ、雪で覆われた白いピッチの上にはオレンジ色のカラーボールが行き交った。秋春制であれば序盤戦にあたるこの時期でさえも、これほどの雪が降る可能性があることを強く感じさせる試合にもなった。

しかし、この課題ついてはヨーロッパの「雪国対策」などを例にとって「いずれは解決しなくてはいけないこと」として早晩、課題克服を突き付けられるのではないかと私は思っていた。

社会ありきのJリーグ

そこへきて、Jリーグ村井チェアマンは秋春制移行の課題点として、日本社会に存在する「カレンダー」からJリーグが外れることによって生まれるであろう支障について、項目を2つ使って説明した。

私はJリーグ秋春制移行の最も大きなネックはこの部分であると感じ、以前このブログでも書いた。

ヨーロッパとJリーグのカレンダーを合わせることによって得られるメリットをJリーグが日本社会のカレンダーと合っていないことによって被るデメリットの方がはるかに大きいことは想像に難しくない。

高校を卒業したばかりの新人選手は、シーズン開幕まで約半年のタイムロスが生まれてしまう。

スポンサー企業の予算編成時期とのズレがクラブ経営に影を落とす可能性もあり得る。

原博美Jリーグ副理事長はこう述べている。

「欧州もサッカーがありきじゃなくて、世の中の流れ、文化がシステムに合っている。大会カレンダーのそのものを変えれば上手くいくという考え方ではなく、大きな視野を持ってやっていきたい」

日本社会には日本社会にあったサッカーリーグの開催方法があると私は思っている。

それこそが「今そこにあるサッカー」たるものになり得るのではないだろうか。

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