EAFF15th「サッカー世界一に向けての東アジア戦略会議」胡散臭い投資話か?

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東アジアからW杯優勝国を誕生させる為にはどうしたらいいのか?

2年に一度開催されている東アジア選手権(今大会よりEAFF E-1サッカー選手権と名称変更)を前に、東アジアサッカー連盟(以下EAFF)設立15周年記念シンポジウムが12月7日に開催され、私も参加してきた。

同連盟田嶋幸三会長の基調講演の中でも「東アジアからW杯優勝国を」というメッセージが強く発せられた。

 

 

ASEAN連盟とのパートナーシップ合意

EAFF連盟、ASEAN連盟、全ての代表が壇上へ

 

今回のシンポジウムでは、EAFFに加盟する10の国と地域の代表が出席し、タイ、インドネシア、マレーシアなどが所属するASEAN連盟とのパートナーシップの基本合意が交換され、イベントの後半には「サッカー世界一に向けての東アジア戦略会議」をテーマにパネルディスカッションも行われた。

ディスカッションにパネラーとして登壇したのは、元女子日本代表監督の佐々木則夫さん、ガンバ大阪U-23監督の宮本恒靖さん、元Jリーガーで北朝鮮代表歴もある安英学さん、韓国サッカー界の英雄で現在中国スーパーリーグで指揮を執る洪明甫さん、元中国代表監督で、現在は中国の育成現場をリードするジュ・グァンフーさんの5人。

司会は朝日新聞記者でサッカーメディアに古くから関わりを持ってこられた潮智史さんだ。

 

声高に「世界一」を叫ぶのは日本だけ?

このパネルディスカッションではテーマタイトル通り、東アジア地域からW杯優勝国を誕生させるためにはどうすればいいのか。といった内容でパネラーの意見交換がなされた。

しかし、このディスカッションがどうにも噛み合わない。

中国語と韓国語の通訳を介しての意見交換であったことで、互いの意思疎通に若干の不自然さがあったことは否めないが、そもそも論として「東アジアからW杯チャンピオンを」と声高に叫んでいるのはどうやら日本だけのような気がした。

国家規模で「サッカー強国」を目指し、その莫大な資金力を盾に「東アジアで最も注目されている」中国スーパーリーグの存在する中国でさえ、ジュ・グァンフーさんの口から出た言葉は「日本、韓国のように安定してW杯へ出場できるようになる」であり、他のパネラーの口からも現実的な課題として「世界一」を標榜することに違和感を感じているようにさえ思えたのだ。

 

「世界一」は「胡散臭い投資話」

 

私は日本サッカー界が常に大きな目標を掲げてきたことで、今のようなある種の「成功」を勝ち得たことに対して否定するつもりはない。

しかしながら、それがいくら何十年後の目標であったとしても「世界一」を殊更に強く謳うことについてははっきりと異議を唱えたい。

常に上昇志向があることが悪いことではないにせよ、日本を含む東アジアのサッカーが世界のサッカー界をリードする地域になることにどれほどの意味があると言うのだろう。

現在の世界サッカー界をリードするヨーロッパや南アメリカに取って代わって東アジアがその盟主になったとして、その先に待っているものは何であるのか。

恐らく、そんなものの答えはないはずだ。

何故なら、私にはこの構図が「胡散臭い投資話」のように見えてならなかったからだ。

「これから東アジアではサッカーを更に盛り上げていきます!そしてゆくゆくはこの地域から世界一のチームを誕生させます!」

この言葉に続くのは当然ながら

「必ず成果を出しますので投資していただけませんか?」

ASEAN連盟とのパートナーシップ基本合意でフィニッシュ。

あらかたそんなところであろう。

 

まさに「今そこにあるサッカーを愛せ」の精神

私は東アジアの国々が切磋琢磨しながら、互いのサッカーを尊重し、これまでになかった交流をはかり、「サッカーが出来ること」を模索していくような、そんな関係性や絆を深めていくことにこそ、EAFFの存在意義があると思っている。

パネラーの方々は全員現場出身者でもあり、その発言にはそれぞれ非常に深みがあった。

特に印象に残っているのは、安英学さんと洪明甫さんのこんな言葉だ。

安英学さんは、東アジアの国々のサッカーの印象を聞かれこう答えた。

「中国や韓国と対戦するときと比べると、日本代表からは迫力を感じることはなかった。比較的セーフティーなプレーが多く、強引な突破やシュートも少ない。だから怖くないんです。」

安英学さんは日本育ち在日コリアンで、Jリーグでも長くプレーした経歴の持ち主。そんな彼から見ても日本のサッカーは「迫力がなく、怖くない」ものだったのだ。

そして、洪明甫さんは今後の東アジアの発展について

「それぞれの国にはそれぞれの長所や弱点がある。そうした特徴を真摯に捉えて戦うことで戦術的な適用力が互いに向上していく。世界のサッカートレンドだけに囚われるのではなく、東アジアが更に意識して交流していくことで、地域としても国としても大きく発展していく可能性があるでしょう。」

私はこのふた方の言葉を聞いて、錦糸町フットボール義勇軍が叫ぶ「今そこにあるサッカーを愛せ」という言葉を思い出した。

「東アジア」「ASEAN」と言いながら、その目線の先は「世界の頂点」ばかり見ている。あるいは見ているフリをする。

しかし、実際に日本サッカーが存在するのは世界地図の外れ「極東」なのだ。

だからといって卑下する必要はない。堂々と「東アジア」のサッカー世界を楽しめればいいじゃないか?

私はそういう意味からも、今回のE-1サッカー選手権には大いに期待している。

 

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