「どうすれば、スタジアムに大勢の人を集めることが出来るのだろう」
私はJリーグが「体感商品」であると考えている。
鍛え上げられた選手たちがボールを激しく奪い合い、見事なシュートによってボールがゴールネットを突き刺す。テレビやネット中継でも「映像」としてそれを見ることは出来る。
しかし、そうしたシーンを「現場」で感じることの出来るスタジアムでは、観客の1人1人が「与えられた映像」としてではなく、それぞれの視点で試合を「同一空間」で感じることが出来ることが最大の魅力だ。
スタジアムで感じる「当事者」感覚
スタジアムへ一度でも行ったことのある方なら分かるだろうが、選手たちがボールを蹴った時には心地よい音が響き、激しくぶつかり合えばその衝撃の強さが直接伝わってくる。そして、ボールがゴールに突き刺さるあの瞬間。スタジアムを包む空気は熱狂を帯びる。この時スタジアムに集まった人々は「目撃者」ではなく「当事者」となるのだ。
Jリーグのスタジアムにおけるこの「当事者」としての感覚は、日常生活ではほぼ得られないような興奮を与え、心を揺さぶられた人々の多くは繰り返しそれを求め、期待し、スタジアムへ足が向くようになる。
とここまで書いてみたが、私は何も「つべこべ言わず、騙されたと思って一度スタジアムへ!」などと言いたいわけではない。
Jリーグの試合が魅力溢れる「商品」であることは疑いようのない事実ではあるが、スタジアムで「確実に」当事者感覚を持ってもらう為に、Jリーグが出来ることが相当あると思っているからだ。
他プロスポーツのファン拡大施策
みなさん、秋田のフライアゲインすごくよくないですかー☺️
1階から3階までヘイヘイしてますのよ!#akitanh #秋田ノーザンハピネッツ pic.twitter.com/cJXjVkT6Cx— ほっこり893 (@hokkori_893) October 29, 2017
プロ野球では「カープ女子」「オリ姫」などの言葉がすっかり定着し、それまで球場に来ることのなかった女性ファン獲得に、観客動員増のポイントを挙げる人もいる。
現在プロバスケ、B2リーグに所属する秋田ノーザンハピネッツは高齢者が快適に過ごせるアリーナ作りにも注力し、リーグ随一の「熱いブースター(バスケの世界ではファン・サポーターをこう呼んでいる)」が応援するチームとして、一定の評価を得ている。
行き過ぎたファンサービス
このようにファン層を拡大していく施策は、Jリーグでもそれなりに取り組めていると私は感じているが、こうした手法は時に「本質的な魅力」から少しづつずれて行ってしまう傾向もあるように思っている。
これを書くと少し批判めいた話になってしまうので、反論を承知で書かせてもらうが、私は今シーズンをもって17年という長いプロ生活から引退することを決めたFC東京の石川直宏をめぐるこの数か月間の「から騒ぎ」に非常に大きな違和感を感じてきた。
FC東京 石川直宏の引退劇
FC東京、最終戦、石川直宏を観に行こう‼ #石川直宏 #FC東京 #最終戦 #味スタ #引退 pic.twitter.com/nzTpFFleEI
— うなうな (@mitsu52239) November 19, 2017
今年8月に今季限りの引退を表明した石川直宏は怪我に泣かされ続け、ここ数年ほとんど試合には出ていない。
本人は昨シーズン限りでの引退を考えていたが、クラブ側が慰留したことで今シーズンもプロ生活を続けた。そして案の定、今シーズンも1試合の出場もない状態が続いていた。
そんな石川直宏の話題がシーズン終盤の10月頃からSNSなどを通じてクラブ側から頻繁に発信されるようになった。
「石川直宏 引退」と銘打たれたポスターには、J1最終節とJ3最終節の日程が記載され大々的に告知された。
FC東京の成績が芳しくなかった事も多分に影響したのかも知れないが、結果が出せず苦しむチームをよそに、怪我で丸2年公式戦に出場すらしていない選手の引退話が華々しく伝えられている状況に、私は半ば不快感すら覚えた。
確かに石川直宏はFC東京で長くプレーし、人気の高い選手であったことも分かっている。彼の過去の実績は十分敬意を持っているつもりだ。
それでも、私はこの状況を素直には受け入れられなかった。
2年間プレー出来なかった選手がスタメンに!?
【#Jリーグ】#FC東京 はホームでG大阪とスコアレスドロー。今季で引退の #石川直宏 がスタメンで元気に駆け回りました。笑顔と鮮やかなドリブルシュートはいつまでも忘れません!#fctokyo pic.twitter.com/n444mpwQGm
— スポニチ編集局 面担さん (@Sponichi_Editor) December 2, 2017
そして、迎えた最終節のFC東京スターティングメンバーを見て、私は驚愕した。
ほぼ2年間公式戦に出場してこなかった石川直宏が先発メンバーとして出場したのだ。(翌日にはFC東京U-23のメンバーとしてJ3リーグの最終節にも交代出場した)
私はこの一連の「引退劇」はサッカーそのものが持つ「本質的な魅力」からは逸脱しているものだと感じた。
スポーツはそもそも「遊び」だ。
しかし、その「遊び」を鍛えられ競争に打ち勝ってきた選手たちが「大真面目」でするところに、プロスポーツの最大の面白さがあるのだ。
選手はクラブの資産でもある、記念グッズをどれだけ販売してもいいとも思う。
しかし、2年間も出場できなかった選手が、引退するからという理由だけで出場してはいけない世界だと私は思うし、いくら何でも「行き過ぎたファンサービス」なのではないだろうか。
Jリーグに取り組んで行って欲しい観客増員、ファン拡大施策についての話は、継続してこのブログでも書いていきたいと思っている。
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