「大本営発表」は今も日本に生きている。
ブラジル大会の時も、ドイツ大会の時も、国内メディアは「日本代表は組合せに恵まれた」と現実を見ようとはしなかった。そして、来年開催されるロシア大会グループリーグの顔触れを見ても尚、そうした楽観論が早くも湧き出ている。
【FIFAワールドカップ「ロシア大会」W杯抽選会】
日本はラスト(トリ)で一番オイシイ「グループH」
先に選ばれた韓国が「死の組F」に向かった幸運に#WorldcupDraw #daihyo #日本代表 pic.twitter.com/CCwgPvecvw— footthink (@uclar_senal) December 1, 2017
日本は最も力の劣る第4ポッド
12月1日、モスクワでW杯ロシア大会組合せ抽選会が行われ、日本代表がグループリーグで対戦するチームが決定した。
2017年10月時点での世界ランキングに則り、参加国を4つのポッドに振り分けて行われる抽選の中で、日本が入っていた第4ポッドは最もランクの低い国々で構成され、AからH、8つのグループへの振り分けも一番最後に行われる。
つまり、第4ポッドの国々が8つのグループに抽選で振り分けられる前の時点で、各グループには既に3つのチームがプロットされていることになる。
第4ポッドの8つのチームのうち、最後までその名が呼ばれなかったのは日本と韓国。
そしてこの2チームが入るグループは、F組とH組のいずれかという状況になっていた。
結果として、先に名前が呼ばれた韓国がF組に入り、最後に名前が呼ばれた日本はH組に入ることが決定。
抽選会を衛星生放送していたNHKの解説者は、日本が入ったH組の顔触れをみて、早速「組みやすし」との楽観論を述べた。
他のアジアのチームより?
W杯ロシア大会グループリーグ組み合わせは以下となる。
A組
- ロシア(開催国)
- サウジアラビア(3大会ぶり5度目)
- エジプト(7大会ぶり3度目)
- ウルグアイ(3大会連続13度目)
B組
- ポルトガル(5大会連続7度目)
- スペイン(11大会連続15度目)
- モロッコ(5大会ぶり5度目)
- イラン(2大会連続5度目)
C組
- フランス(6大会連続15度目)
- オーストラリア(4大会連続5度目)
- ペルー(9大会ぶり5度目)
- デンマーク(2大会ぶり5度目)
D組
- アルゼンチン(12大会連続17度目)
- アイスランド(初出場)
- クロアチア(2大会連続5度目)
- ナイジェリア(3大会連続6度目)
E組
- ブラジル(21大会連続21度目)
- スイス(4大会連続11度目)
- コスタリカ(2大会連続5度目)
- セルビア(2大会ぶり12度目 ※旧ユーゴスラビア、セルビア・モンテネグロを含める)
F組
- ドイツ(17大会連続19度目)
- メキシコ(7大会連続16度目)
- スウェーデン(3大会ぶり12度目)
- 韓国(9大会連続10度目)
G組
- ベルギー(2大会連続13度目)
- パナマ(初出場)
- チュニジア(3大会ぶり5度目)
- イングランド(6大会連続15度目)
H組
- ポーランド(3大会ぶり8度目)
- セネガル(4大会ぶり2度目)
- コロンビア(2大会連続6度目)
- 日本(6大会連続6度目)
これを見ると、日本以外のアジアからの出場国は確かに「いわゆる」強豪国との対戦を余儀なくされている。
サウジアラビアは開催国との開幕戦に挑み、イランは最低でもポルトガル、スペインのいずれかから勝利をあげない限り決勝トーナメントへの進出は望めないだろう。オーストラリアは世界最強とも目されるフランスと初戦を戦い、韓国は前回王者ドイツと同組になった。
では、日本が入ったH組の顔触れは「比較的容易」と言えるようなものなのであろうか。私には全くそうは思えない。
アジア勢のグループリーグ突破は「事件」
コロンビア代表監督ペケルマン、W杯初戦の日本代表に言及「弱いチームだと思ってはいけない」https://t.co/w3wsrMCSdz#Colombia #WorldCup2018
— FOOTBALL TRIBE JAPAN (@FootballTribeJP) December 2, 2017
確かにH組の国々の中には「優勝候補」とされるようなチームはいないかも知れない。ただその一方で、どのチームがグループリーグを勝ち抜けても誰も驚かない。そんなグループでもある。もちろん、これは「日本を除いて」の話だ。
2014年のW杯ブラジル大会でグループリーグを突破し、決勝トーナメントに進出したアジアのチームは0だった。しかも全てのチームがグループ最下位というおまけつきでもある。
もちろん、それ以前の大会で日本を含むアジア勢がグループリーグを突破し、決勝トーナメントに進出した例はあるが、それも数えられる程度。
アジアのチームがW杯でグループリーグを突破するということは、その時点で「事件」だと言える。
いつまで「大本営発表」を続けるのか
私は決して悲観論者ではないが、直近の親善マッチで多くのサッカーファンを失望させ、国内で行われた「華試合」でさえロクな試合内容を見せることが出来ていない日本代表チームに「期待」を超え「楽観」出来る要素があるのかを知りたい。
勿論、サッカーの試合は何が起こるか分からない。思わぬ形で日本代表が並みいる強豪国を倒す可能性がゼロだとは言わない。ただし、今の時点でそうしたことが起きるとすれば、それは「神風」であるとしか思えない。
2014年、日本は既にグループリーグ突破を決めていたコロンビアに手も足も出ず惨敗した。確かこの試合の前に日本のサッカー解説者はこんなことを言っていた。
「コロンビアは突破を決めているから、日本戦はメンバーを落としてくる。勝機はある」
確かにコロンビアは先発メンバーを落としてきた。
しかし、それまでほとんど出場機会のなかった選手に日本は2ゴールも奪われ、前半だけのクアドラードと、後半だけのハメス・ロドリゲスに1点づつ得点されたのだ。
目の前の戦いに対して、希望や野望を抱くのは悪いことではない。
しかしここまでくると、ほとんど太平洋戦争時の「大本営発表」である。
日本サッカー界は、いつまでこんな虚しいことを続けていくのだろう。
このままでは「大本営発表」に騙されたと感じた人たちが、どんどん日本サッカーから離れていってしまう。
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