11月21日に行われたJリーグ理事会で変わらぬ反発を受けたため、Jリーグの秋春制移行は12月に否決され、当面の間は議題にのぼらなくなる見込みである。
これまで何年もの間、Jリーグをヨーロッパ主要リーグ基準の「秋春制」へ移行すべきか否かという議論は互いの支持者の主張が平行線を辿り全くといっていいほど議論の中身を進展させることが出来ていない。
賛否双方が唱える概ねの主張としては、賛成側が「ヨーロッパ主要リーグとカレンダーを同じにすることによるメリット」を叫び、反対側は「降雪地帯でのリーグ運営の困難」を訴えるという構図になっている。
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— ドメサカブログの中の人 (@domesoccer) November 22, 2017
「秋春制」深まらない議論
双方の主張の軸となる論点が異なっているために、議論がまったく深まっていかない状況となっているのだが、秋春制推進をしていくうえで、反対派の危惧する課題を明確な形で解消していく案を提示していくことは、どうやら不可能なように見える。
リーグ戦が行われるスタジアムのピッチを寒冷地用にし、スタンドに屋根を増設したところで、そのスタジアムまで何万もの観客が集まることができなくては意味がない。
仮に最寄り駅からスタジアムまでのアクセスに画期的な手法が導入されたとしても、アウェイのサポーターがその街まで入れない事態もあり得る。場合によってはその選手たちもだ。
豪雪地方を本拠とするクラブにとっては、日頃のトレーニングをするグラウンドについても当然大きな課題になるであろうし、こうした「地域的」な有利不利がリーグ戦での戦績に影響を及ぼすようなことは決してあってはならない。
そして、秋春制賛成派が唱える「ヨーロッパ主要リーグ」と年間スケジュールを合わせることによるメリットについても、基本的にはそれがJリーグクラブにもたらされる利益でない限りは、なかなか賛同を得るのは難しいだろう。
大義名分「日本代表の強化」
日本サッカー協会が免罪符のように言っている「日本代表強化」という大義名分も、そろそろ通用しなくなってきているのではないか。
その理由としては、2022年に行われるW杯カタール大会は11月~12月に開催されることが決定しており、そのタイミングに合わせてヨーロッパの主要リーグでは「春秋制」への移行の動きすら見られ、これが実現すれば秋春制賛成派が主張する理屈の根本が揺らぐ。
また、南米各国では日本と同じように春秋制が一般的であり、Jリーグに多くのブラジル人選手が在籍しやすくなっている大きな要因ともなっているし、ヨーロッパのリーグでプレーする南米出身選手も母国のリーグ戦が「春秋制」であることで移籍が難しい状況になっているとは思えない。
「秋春制」の前に「日本代表の強化」についての議論を
【サッカーコラム】Jリーグの開催時期、「秋春制」を導入するより欧州に「春秋制」を売り込め https://t.co/Atcvgdhrmg @sanspocomから 欧州では春秋制が議論されていると聞きます。寒さの中を凍えながら観戦すりより春秋制の方が日本では合っている。世界のサッカーカレンダーもそうなるかも…
— 後藤 宏爾 (@MFZnXafA2Pl6FMo) November 21, 2017
そもそも「日本代表の強化」こそが日本サッカー界発展の唯一の道なのであろうか。
「日本代表の強化」の結果は4年に1度のW杯でその審判が下される。そしてこれまでの日本サッカー界の歩みを見ても、日本代表のW杯での活躍からもたらされた功績を否定するつもりは全くない。
しかしながら、私にはW杯自体の「価値」が徐々に落ちてきているように見える。
出場国枠の増加もそうであるし、昨今の有力選手出場辞退などにも現れているように、W杯が世界最高峰のサッカーコンペティションではなくなっていることを多くのサッカーファン達は分かっている。
もちろん、ナショナルチーム同士の戦いの場としての意義は今後も大きなものとしてあり続けるであろう。しかしながら、僅か1か月の間で開催される短期大会であり、開催頻度も4年に1度。
そんな、サッカーファンにしてみれば「たまに」行われる大会で結果を出すために、これまで享受してきた日常を捨て、敢えて困難な日常を受け入れろというのは、あまりに合理性に欠ける話ではないのか。
「秋春制」の議論が深まらない現状。それを打開してくには「日本代表強化」という言わば不可侵ともなっている大義名分に、極めて現実的な視点でその目標としての意義について、日本サッカー界はきっちりと議論していくことこそ必要なのではないだろうか。
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