スウェーデンとのプレーオフに勝利できず、イタリアが来年開催されるW杯ロシア大会への出場権を獲得出来なくなったことは、日本のサッカーファンにとっては「悲報」として捉えられ、改めて私たち日本人にとって「カルチョの国」イタリアの存在感がいかに大きなものであったのかを知らしめることとなった。
イタリア、まさかの予選敗退。W杯の“12年サイクル”に終焉
イタリア代表は、1970年のW杯メキシコ大会から12年ごとに更新していたある記録を途絶えさせてしまった。https://t.co/kLHxraqdmY pic.twitter.com/JB3gJjMQ91
— フットボールチャンネル⚽️ (@foot_ch) November 15, 2017
日本のサッカーファンにとってのイタリアという存在
かつてセリエAは世界最強リーグとも称され、世界中から優れた選手たちが集まるその華やかな舞台は遠く離れた極東の国にあっても羨望の対象であった。
三浦知良がアジア人として初めてセリエA・ジェノアでプレーするようになると、その人気には更に拍車がかかり、キングが成し遂げることが出来なかった栄光は、それを継ぐスター、中田英寿によって成し遂げられ、その姿を日本のサッカーファンたちは自らの成長であるかのように享受した。
こうしたセリエAと日本人との関係をめぐるストーリーが、日本のサッカーファンにとってイタリアサッカーに対するある種のノスタルジーとして息づき、セリエAがヨーロッパの3大リーグから外れて久しい現在にあっても、イタリアサッカーが決して色褪せることなく燦然と輝いて見えているのかも知れない。
同じくヨーロッパ大陸予選でW杯出場を逃したオランダについても、日本人がイタリアサッカーに憧れる以前からの「トータルフットボール」ヨハン・クライフの威光とともに、未だ多くの影響力を日本サッカー界に持ち続ける偉大なアイコンである。
イタリアやオランダが出ないW杯なんて
これら日本サッカー界に大きな存在感を誇ってきた国々が、W杯という「世界最高峰の国別対抗戦」に出場しないという事実が、日本のサッカーファンにとってW杯への興味・関心を削ぐことにつながるのは間違いないことであろう。
どれほどまでに望んでも、ロシアのピッチでブッフォンの味わい深い佇まいは見ることは出来ないし、その場に欠かせないと思われてきたあの地中海ブルー(アッズーリ)のシャツは登場しない。
時を同じくして、ブラジルにもてあそばれた我々の代表チームが、W杯に出場する資格の有無についてまでも疑問視する論調が、ここへきてその勢いを増してきているようだ。
これまでもこうした「日本代表を卑下する」考え方が、「海外サッカー」を趣向する一定のサッカーファンの一部の間で存在してきたことは間違いない。
彼らの多くはサッカー観戦に対して、その「戦術・技術の質」にこそ最大のプライオリティを置いている。毎週のように「マンチェスター・シティ」や「FCバルセロナ」の試合を見ていても、身近で行われている「Jリーグ」には全く関心を示さない。そんなファン層だ。
こうした価値観を持っている人々にとっては、「イタリアやオランダやチリが出場出来ないのに日本は出場出来る大会」に大きな価値を見いだすことが難しいのかもしれない。
そこで自らが思い描くW杯の価値を改めてそこに見いだすための意見として、「W杯出場枠の見直し案」を唱えたり、過激な意見にもなると「日本代表はW杯出場権を返上せよ」といった具合に発展していく。
W杯とは本当に世界最高峰の大会であったのか
第1回大会に出場する可能性があった日本
私はこうした意見が全く理解できないわけではない。世界トップクラスの選手やチームによる熾烈な戦いを期待する気持ちも十分に分かる。しかし、ここでひとつの考えがよぎる。
そもそもW杯とは本当に「世界最高峰のサッカー大会」なのだろうか。
1930年に当時のFIFA会長ジュール・リメの発案により実現した第1回W杯はウルグアイを舞台に13か国が参加し開催される。
この大会には出場権をかけた予選は存在せず、全てのチームが招待され参加した。(南米7か国、欧州4か国、北中米・カリブ2か国)
そして驚くことに、この大会へは日本も招待されていた。財政的理由で出場を辞退する結果にはなったものの、W杯の第1回大会に日本代表が出場していた可能性は十分にあったということである。
こうした事実からもW杯が本来持ってきたポリシーが、必ずしも「実力至上主義」だけではなかったと言えるのではないだろうか。
「拡大する出場枠」これこそW杯
第1回大会以降、最大でも16か国の参加で行われてきたW杯は、1982年スペイン大会で参加国を24に増やし、アジア地区からは2か国が常に参加できるようになった。そして日本代表が初出場を果たした1998年フランス大会以降は参加国が32か国にまで増え、アジア地区の代表は3~4か国の参加が可能となる。
日本代表が6大会連続でW杯に参加出来ている大きな要因が、アジア枠の拡大に拠るとする意見は至って正論であり、今後2026年大会以降は48か国まで増加するとされているW杯へ日本代表が連続出場を継続していく可能性は非常に高いと言えるだろう。
W杯がコマーシャリズムとともに拡大を続けていることは疑いようのない事実であろう。
しかし、その大会創設のポリシーには第1回大会に極東のサッカー後進国を招待する度量があったのも事実。サッカーがこれまでに世界中で愛されるようになった大きな理由は、サッカー界が絶え間なく「仲間づくり」に励んできた成果とは言えないだろうか。
「最高峰」とは、それが体力や技術や戦術だけを指しているのではなく、「世界中の誰もが参加する」「世界中の誰もが注目をする」そうした意味をもっての「最高峰」なのではないのか。
イタリアやオランダ、チリが出場しないW杯は確かに寂しいものであろう。しかし彼らに変わってアイスランドとパナマが初めて出場し、そして何よりもその開催国はあのロシアであるのだ
「日本代表はイタリア代表にW杯出場枠を譲渡するべきなのか」
そんな考えを持つ必要は私は全くないと考えている。
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